Trance Shift 8 - Notes

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長編RPGの新シリーズ 英雄伝説 黎の軌跡をクリア...した記録を掘り起こした

この記事、実は去年に書いたモノなんですがすっかり公開を忘れていたので、今更公開しておきます。既に続編が9月に出ることがわかっているので、その前に。あと、ちょうど数日前にPS5版が出ました。以下は去年クリアしたすぐ後に書いた体でお楽しみください。


軌跡の新作が出たというので早速プレイしました。

舞台は共和国へ。「空」の王国はこの南西、「閃」の帝国はこの西です。

軌跡シリーズといえば、英雄伝説VI(!)から続く長編RPGですが、今回の「黎」は一応新シリーズのお話となるので、システムがガラッと変わりました。正直に言えば、ここんところの閃1-4と創のシステムがいつもほとんど同じでいい加減ウンザリしてたんですが、今回はそのあたりもだいぶ改善。

豊富な会話パターンや、丁寧な進行システムなど良い所はしっかり残しつつ、楽しい新要素が織り込まれていて、個人的にはかなり楽しめたのでそのあたりを語っていこうかなと。

ストーリーはやっぱり「軌跡」のシリーズ経験者向け...だが

軌跡シリーズの人気キャラ、レンちゃん。今作でも活躍するぞ

今回は新シリーズということで、シリーズ未経験で「黎」を始めるって人もある程度いると思うんですが、登場人物や舞台となる世界が今回はほぼ新規ばかりなので、そういった人でも"一応は"大丈夫になってます。が、おそらくかなり混乱します。

要は全くの未経験だとあまりに経験者向けのセリフや要素が多いので「?」となることが多く、会話について行けないというケースがかなり多いんですよ。登場人物が台詞の中で「あの人」とか「あの事件」だとかいうんですが、これが過去の事件(要は前シリーズで起きたエピソードとか、登場した人物)とかに関連してたりするんでシリーズ経験者なら理解出来るものの、未経験だと全く理解出来ないという自体になります。この辺をサラッと流せるタイプの人なら楽しめるし、気になる人はシリーズ追った方がいいかな...と。「あの事件」とか言うだけで何も解説されませんし、解説するとそれが過去の作品のネタバレに繋がるという。

そのストーリーを理解する上で重要になるのが地理なんですが、今作ですごく気になったのが世界地図が無い所。フィールドのマップみたいなのは勿論あるんですが、世界地図がないので、どこで何をしてるのかがイマイチ理解が難しい。チャプターの切り替わりにデモシーンとして大陸地図が挿入されるんですが、そこでしか目的地や現在位置を知れないので、非常に困ったちゃん。閃の時は帝国地図がいつでも確認出来たのに。ストーリーをちゃんと理解しようと思うと大まかな地理は頭に入れて置いた上でテキスト読み進めた方が良いです。

一応、全くの新規で始めても普通のRPGとしては楽しめる構造にはなっているんですが、こういう「あの事件」「あの人」やらで情報がマスクされているのがどうしても個人的には気になってしまうので、トータルで考えると経験者向けかなと思います。せめて「空」だけでもやってるとたぶん全然違う。初めて遊んでもいいと思うんですが、たぶんその辺気になっちゃうので過去作マラソンになることだけはお伝えしておきます。

それと、以前のシリーズと比べて主人公の年齢がちょっと上がったので、ラノベ的なキツいノリはちょっと収まっていて、ちょっとオトナなストーリーになってます。相変わらずテキストの気になるところは気になります(ちょっと独特の表現があるんですよね)が、だいぶマシにはなったんじゃないかなあ...

アクションRPGにも、コマンドRPGにもなる、ハイブリッドバトル

今作の一番の特徴はバトルシステム。基本的にこのゲームはシンボルエンカウントで、敵と接触するとそのままバトルに移行する方式です。シンボルに対して先制攻撃を加えると有利な状態でコマンドバトルが開始出来る...というのが前回までのシステムだったんですが、今作はフィールド上でそのままアクションRPGとしてバトルが出来ます。

そのままフィールドで攻撃。弱い敵なら一撃で粉砕できる

とはいえ、出来るアクションは移動、攻撃、回避の3つだけ。そしてコマンドバトルへの移行はいつでも出来るという具合です。フィールドのアクションバトルでは基本的に敵味方ともに攻撃力がかなり高めの状態になっていて、攻撃一発でかなりの体力を削れます。ただ、敵の攻撃もその分かなり痛いのでハイリスクハイリターンというわけ。また、味方が危険になると強制的にコマンドバトルへ移行するので、じっくり戦略を練ることも出来ます。

いつものコマンドバトル。UIもカッコよくなってわかりやすい

コマンドバトルではこれまでのシリーズ同様、キャラクターの速度パラメーターに応じて行動順が決まっていて、行動順を前後させる攻撃などを駆使してバトルを進めていきますが、時間は完全に止まっているのでアクションが苦手な人ははじめからコマンドバトルを使う。といったことも出来る親切設計。

雑魚相手でいちいちバトルしてらんねーって時はフィールド上でアクションバトルにする。手強い相手で通常攻撃以外の手段を取りたい場合はコマンドバトルに移行する、といったどちらの手段もとれるようになっているのは非常に面白いですね。よく出来てる、というかよく作ったなと。ちなみに強敵(ボスクラス)相手ははじめからコマンドバトルです。

奥深くなったオーブメントセッティング

これはシリーズ経験者向けの案内ですが、閃以降非常にシンプルになってしまったオーブメントのセッティングが、だいぶ改善しました。初代の空の軌跡のような面白さがあります。ややこしいので単語を整理しておくと、

  • クオーツ: 火、水、風、土、幻、時、空の7属性がある結晶。敵がドロップする。火なら攻撃力が上がる、時なら行動スピードが上がる、とか色々効果がある。
  • 戦術オーブメント: キャラクターごとに固有の器。今作ではスマートフォン。クオーツを複数セットする。
  • アーツ: いわば魔法。オーブメントを持ってると打てる。

「空」では、クオーツをオーブメントの"ライン"にセット設定していくことで、ライン上に蓄積された属性で特定のアーツが使えるようになる。という仕様で、ラインが長いキャラほどアーツ適正があるシステムでした。その組み合わせを考えるのが結構面白かったんですが、「閃」とかではラインは廃止され、クォーツ自体にアーツが設定されて、単にセットすればアーツが使えるという味気ないものになってしまいました。

それが今回は、発動できるアーツはクオーツに関係なくなり、アーツドライバという別の設定で管理されるようになったんですが、オーブメントにセットするクオーツの組み合わせによってシャードスキルという全く別のアビリティが使えるようになりました。例えばフィールド探索に役に立つ宝箱のマップ表示、バトルで役に立つカウンター、追撃、もしくは防御、状態異常回避とかなんですが、これを考えるのが非常に楽しいシステムになってます。

スキル発動に必要な属性値を揃える。結構数があって強力な効果もあって面白い

つまり、オーブメントの設定画面では、

  • どんなステータスに仕上げるのか (物理、魔法攻撃力、物理、魔法防御力、スピード、etc...)
  • どんなアビリティを使うか (フィールドアビリティ、バトルアビリティ、etc...)

のバランスを考えながらキャラクターをビルドする必要があるというわけですね。これ、文字で説明するのムズかしいネ...

今後の展開に期待が持てるスタートを切った作品

シリーズお馴染みの丁寧なUIも健在。カットシーンのまとめてスキップや、重要局面前の最終確認ダイアログなど

軌跡シリーズはもはやファルコムさんの看板作品なので、まだまだ続いていく作品集になると思いますが、今作の出来は「黎」シリーズ一作目として考えても非常に良かったと思います。軌跡シリーズらしい長所はしっかり残されつつも、短所はばっさり切り捨ててきたのかなという意欲作。

私は今回クリアまで結構ゆっくりじっくりプレイするスタイルを取ったので一週目に80時間近くかかりましたが、トロコンの難易度も今までよりぐっと抑えられていてプラチナ取った時点で96時間など、比較的ライトにはなっていると思います。NPCとの会話パターンがとにかく多いゲームなので、回収するのに時間がかかりますが、それらを無視して普通にプレイすればおそらく50〜60時間ぐらいのボリュームかなという。

あと、言い忘れてましたが、相変わらずBGMも良く、お洒落でカッコイイ曲が多いです。バトルBGMとかちょっと変化球だったけどとてもいいよね。サントラもオススメです。

そんなわけで次回作に期待。