新型コロナウイルス感染症対策で、自宅リモートワークの人も周りに増えてきてお困りの人も多いようなので、今更だけどv6プラスについて簡単に解説。詳しい仕組みとかは省きますが、お昼間や夜中ネットの速度が遅すぎて困ってる!とか夜中のパケロスが酷すぎて困っている!という人の助けになれば。
なお、ここに書いてある記事を試したからといって、改善を保証できるものではないのでその点はご了承を。
TL;DR
- フレッツ東西使ってた場合の話だよ
- v6プラスを契約して対応ルーターにすれば改善できる可能性があるよ
- プロバイダがv6プラスまたはそれに類するサービスをやっている場合に限るよ
何が起きているのか?
インターネットトラフィックの増加
3-4年ぐらい前あたりから「夜中(特に21-24時)ネットが極端に遅い、またはパケロスが酷すぎる」というのが周りでも多く聞かれるようになったんですが、主原因となっているのはトラフィックの増加。4K動画ストリーミングとかコンテンツがリッチになった結果世界中のトラフィックが増加してるんですね。
当然、トラフィックの増加に伴って事業者さんの方でもトラフィックを捌けるように色んな設備を強化したりするわけなんですが、その設備が追いつかないというのが現実なんですね。特に、日本で多く利用されているNTT東西のフレッツを利用している場合、家からインターネットにつながる経路は、
[家] ==> [フレッツ東西NGN] ==> [NGN網終端装置] ==> [契約プロバイダ(ISP)] ==> [インターネット]
という順番になっていて、このフレッツの持つNGN(=ネットワークのこと。という理解でOK)の 網終端装置 がメチャクチャ混み合ってます。なのでここをどうにかしないと改善が期待できないのです。
網終端装置が限界を迎えている
プロバイダと契約すると、IDとパスワードが書かれたハガキや封筒が送られてきたことがあると思うんですが、これはPPPoEという方式で認証を行うためのものです。このID/パスワードを使うと、
[家] ==> [フレッツ東西NGN] ==> [NGN網終端装置]
プロバイダではなくフレッツ東西NGN内の網終端装置に接続されます。そして、そこから先は認証した情報を使ってプロバイダを経由してインターネットに接続されているわけですね。例えばso-netならPPPoEのユーザー名に XXXX@so-net.ne.jp
とか書いてあると思うんですが、この @so-net.ne.jp
で契約プロバイダを判定して各プロバイダのネットワークに接続しているわけです。
で、「網終端装置」が諸々の事情によりメチャクチャ混み合ってるんですね。要約すると、
- そもそも「認証」という処理が重たい
- 網終端装置がトラフィック増加に対応できてない
という感じ。(ちょっと語弊ある言い方しているけど許して)
ちなみに詳しい話は日本インターネットプロバイダー協会さんの資料に書いてあります。良かったら読んでみてネ。 => インターネットの速度低下における主な課題と当協会の取り組みについて
網終端装置を迂回する
上に上げたように、NGNの網終端装置が原因なのでそれを迂回しちゃうのが一番てっとり早いわけですネ。ここで登場するのがIPv6 IPoEという方式です。こんなイメージ。
# 従来(IPv4 PPPoE) [家(v4)] ==> [フレッツ東西NGN IPv4] ==> [NGN網終端装置] ==> [契約プロバイダ(ISP)] ==> [インターネット(v4)] # フレッツNGN迂回方式 (IPv6 IPoE) [家(v6)] ==> [フレッツ東西NGN IPv6] ==> [VNE(v6 => v4)] ==> [インターネット(v4)]
IPv4/IPv6に関する説明は省きますが、今のインターネット上のコンテンツは基本的にIPv4がほとんどなので、最終的にはv4でインターネットに到達する必要があります。IPoEを使うとどう変わったかというと、
- A: 家がIPv6になった
- B: NGN網終端装置がカットされ、フレッツ東西NGNがIPv6になった
- C: 契約プロバイダ(ISP)がVNE(Virtual Network Enabler)というプロバイダに変わった
になってます。そしてこれを実現するのが巷で話題の v6プラス というプロバイダのオプションサービスです。
「v6プラス」とは
これ、非常にややこしくて「v6プラス」以外の言い方をしてるプロバイダもあったり、微妙に違う技術で似た方式の「transix」を採用してるプロバイダもあるので、詳しくは調べてください!という言い方しかできないんですが、2020年現在最もメジャーなのが「v6プラス」なのでその解説をしておきます。
1.「v6プラス」オプションを契約する
さて、上に揚げた「網終端装置を迂回」するために必要なことのうち、
- B: NGN網終端装置がカットされ、フレッツ東西NGNがIPv6になった
- C: 契約プロバイダ(ISP)がVNE(Virtual Network Enabler)というプロバイダに変わった
を「v6プラス」の契約によって実現できます。v6プラスは通常プロバイダのオプション契約になっていますが、基本的に無料でやっているプロバイダが多いと思います。中にはv6プラスそのものに対応してないプロバイダもあるので、その場合は諦めてください...
さて、v6プラスを申し込むと1-2日程度で「v6プラスオプションがONになったぜ」という通知が来るのでその瞬間からIPv6 IPoE方式を使うことができます。ちなみにオプション契約なので、従来のIPv4 PPPoE方式も使えます。もしうまく行かない場合は従来どおりの方式に戻すこともできるというわけですネ。
2.IPv6 IPoE対応ルーターを準備する
更に、「網終端装置を迂回」するには最後の、
- A: 家がIPv6になった
を実現する必要があります。これには、対応ルーターが必要になります。家のルーターが古い場合は買い替えましょう。そこまで高くないので。ちなみに今のプロバイダで利用できる「v6プラス」はJPNEさんのサービスを利用している場合がほとんど(つまり、VNEの正体はJPNEさんなのだ)なので、
このページ下にあるルーターを用意するのが確実かと思います。少し古いルーターでもファームウェアバージョンアップによって対応できる場合もあります。また、PCで直接接続している猛者はPC側の設定変更で接続が可能です(やり方は調べてみてネ)。
なお、v6プラスではなくtransixなどの方式が異なるオプションの場合は、通信方式がちょっと違うのでそのキーワードで調べてみることをおすすめします。
3.ルーターの設定を変更してIPv6 IPoE方式で接続する
ルーターを用意したらIPv4 PPPoEの設定を削除し、IPv6 IPoE方式に切り替えます。IPoEでは、認証が必要ないので、プロバイダから送られてきたID/パスワードの入力はそもそも不要です。ルーターによってIPoEと書いてあったり、v6プラスと書いてあったりすると思いますが、まあそのへんは調べてみるとわかると思います。
その設定を行えば、ルーターがIPv6アドレスを持つので、
[家(v6)] ==> [フレッツ東西NGN IPv6] ==> [VNE(v6 => v4)] ==> [インターネット(v4)]
という経路が成り立ちます。
などのサイトでv6/v4の両接続が成り立っていれば成功です。おめでとうございます。これにより、
- VNEまではIPv6で直接通信
- VNEでIPv6/4を変換
- VNEから先はIPv4に変換して通信
が成立するので、無事にNGN網終端装置を回避できます。
というわけで
お困りの方向けに急遽書きなぐってみましたが、何かしらの参考になれば幸いでございますよ。